椿ノ華



「逃げるなんて…」

「…ふーん?」


逃げる様に目線を逸らしても、
じっと見詰められているのが分かる。


「…兄貴は、何に替えてもあんたを守るよ」

「え…?」

「弟の勘。まあ俺ら、血繋がってないけど」

「……」

「知ってた?"傷付けたくないから離れる"はエゴだって」

「…どうして」

「自分のせいで傷付いたその人を見る勇気が無いから離れる」

「……」

「あんたがどうして逃げようとしてるのかは知らないけど、

もう一度考え直してみたら?それでも消えるって言うなら、

俺は何も見なかった事にする」



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