椿ノ華



え…?



なぜ謝られたかも分からないのに、
彼は目を潤ませていて。


「あ、あの…」

「ああ、すまない。本当なら私は、

君を助けてあげられたのに」

「助ける…?」

「君はずっと、お母さんだけが肉親だと聞かされていただろう」

「…はい」

「本当は違うんだ。私という祖父も、兄も居る。

もう亡くなってしまったけれど、父親も」


"父親"

その言葉に、ぴくんと肩が跳ねた。



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