椿ノ華



「まあまあ、君は僕に任せて」

「…せめてこんな拉致みたいな誘い方じゃなくて、

もっと普通に誘って欲しかったです…」

「普通に誘えば、来てくれた?」

「え…」


やけに真面目なトーンだった。


「来てくれないかなって思って、強引に連れてきた。ごめんね」


申し訳無さそうに微笑み、優しく椿の頭を撫でた。


「…信号、青です」

「ああ、本当だ」


壱は慌てて前を向き車を発進させた。



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