さよならの見つけ方 第3章 *君の声がする*
春なのに、その日の朝は少し冷えた。
雲が多いのだろうか、カーテンから差し込んでくる日射しも、どこか暗い。
今日は日曜日、礼拝に行く日だ。
起きなきゃな、と思った。
あと1時間半もすれば、クリスが私を迎えに来る。
よいしょ、とベッドから体を起こすと、閉じられたカーテンの向こうからマイケルの渇いた咳が何度か聞こえてきた。
こほ、と苦しそうにむせているけれど、喉の調子は中々元に戻らないようだ。
何度も、あ、あ、と声を整えようとしているマイケルの、
風邪を引いた時のような少し低い声。
「マイケル、おはよう」
カーテン越しに、私は呼び掛ける。
「…おはよ」
「…風邪?」
「…ん、わかんない」
「のど、苦しそうだよ」
「…うん、少し痛い」
「…今日、礼拝大丈夫?
ソロあるんだよね?」
「ん…
ロバートに言ってみる」
…風邪だといいんだけど…
そう呟いたマイケルの声色は、どこまでも沈み切っていた。