明日ここにいる君へ
登坂悠仁のことは……
まだほとんど知らない。
知ってることと言えば……。
私は、窓際に移動すると………
外に降る雨を見つめながら………
「にゃ~お。」
なんて、猫の鳴きまねしてみる。
その途端。
「…『ナナ』?!」
思い切り椅子を倒して…、
すぐそこにいる悠仁が、立ち上がった。
まだ寝ぼけているのか、辺りをキョロキョロ見渡して…。
私が知っている彼のこと…、といえば。
最近飼いはじめた白ネコを…
溺愛していること。
私が笑いを堪えていると……。
バチッと視線がぶつかった。
しまった!
私は知らんぷりを決めこんで……。
早足で、女子会の輪へと…
戻って行った。