鈍感ガールと偽王子
そうだ、椎葉くんなんて忘れられるような恋をすればいいんだ!
そしたら、また友達に戻れるかもしれない。
今までみたいに椎葉くんの家で会うことはできなくても、せめて、普通に会って話すくらいの、女友達に戻りたい。
あたしの中で区切りが付けられれば、きっとまた今までみたいに、友達みたいに接することができるはずだ。
「美結…」
無理やりテンションを上げて騒ぐあたしを、里奈は心配そうな目で見ていたけど。
そしてそんな里奈の言わんとしていることも分かっていたけど。
あたしには、まだ。
まだ、向き合う勇気が、無かった。