鈍感ガールと偽王子
────そして、クリスマスイブ、当日。
あたしは会場まで沙奈と行くことにしていたので、待ち合わせ場所のコンビニの前で、沙奈を待っていた。
ちらちらと雪が空を舞っていた。
アスファルトに落ちては溶けていく。
今は積もっていないけど、帰る頃にはもしかしたら気温が下がってうっすらと積もるくらいにはなるかもしれない。
あたしは、はあ、と掌に息を吐いた。
微かな温もり。
こんな寒い日に手袋を忘れてくるなんて、本気で自分を呪いたい気分だ。
「美結、おまたせーっ!行こう!」
明るい声に顔を上げると、沙奈がこんな寒いにも関わらずひらひらのミニスカート姿でこちらに走ってくるところだった。
しかも、ニーソ!
寒そう!!
家出るときテレビで、今の気温、マイナス3度って言ってたよ!?
「寒いねー!!」
「いや、そりゃそんな脚じゃどう考えても寒いでしょ!?」
その根性、むしろ尊敬する。
氷点下ですよ!