鈍感ガールと偽王子
「そりゃね!今日くらい頑張んないと!」
沙奈はそう言ってにっこり笑う。
あたしたちは雪の舞う中を歩きだした。
「ねえ、沙奈。合コンってどうすれば上手く振る舞えるんだと思う?」
歩きながら、あたしは沙奈にそう尋ねた。
「えー?普通に明るくしてたら大丈夫だよ…、って、美結はそれが難しいんだったね」
「沙奈みたいにしてたらいいの?」
「いやー、あたしだってよくわかんないよー。そんな上手くいったことないし。とりあえずさ、笑顔でいながら、ちゃんと相手の話を聞いてたらいいんじゃない?自分からは話せないんでしょ?」
「うん…、わかった…」
笑顔か…。
よし、今日は笑顔を崩さないぞ!
いつもみたいな困った顔なんか見せないぞ!
あたしは、心の中でそう固く誓ったのだった。
……誓った、んだけど。