鈍感ガールと偽王子
現実って、そう上手くはいかないんだよね…。
「でさ、……ってごめん、もしかしてこんな話退屈だった?」
「そっ、そんなことないです!」
あたしはぶんぶんと首を横に振った。
退屈なんかじゃない。
ちゃんと面白い話だと思ってる。
なのになんで、楽しそうに見えないんだろう。
あたしはやっぱり、ダメな子なのかな。
「いえー!!楽しんでる!?あ、美結ちゃん、だっけ?全然お酒進んでないじゃん!飲んで飲んで!!」
落ち込みかけていると、いきなり違う男の子があたしの肩に腕を回してご機嫌そうにそう言い、もう片方の手に持ったビールを一気に飲み干した。
「ぷはーっ!ほら、こんな感じでっ!」
「あ、あはは、じゃあ、飲もうかな」
「うんうん、はい!」
あたしの笑顔がひきつっていることなんか全く気付いていないらしい彼は、そう言って満面の笑みであたしの飲みかけのグラスを渡してくる。
ホントはこれ、頼んでみたら思ったよりアルコールがきつくて、なかなか飲みきれないでいたんだけど…。
…仕方ない、ここで断ったらこの人も気悪くしちゃうよね。