鈍感ガールと偽王子
「…なんで、ここにいるって、知ってたの?」
自分でも情けなくなる涙声だった。
椎葉くんは、入口じゃ邪魔になるから、と人通りのない建物の脇へとあたしを引っ張って移動した。
「……この前言ってた、親友の子」
そして、あたしの方は見ないまま、椎葉くんはぼそっと言った。
「里奈?」
「……あの子が、俺の研究室まで、このままでいいのかって、言いに来た。で、もし美結とちゃんとする気があるならここに行けって」
……里奈…。
「なあ、美結。俺、なんかしたか?もしかしたら知らないうちに美結のこと傷付けてたのかもって思ったら、怖くなって、会いに行けなかった」
あたしは、椎葉くんの言葉にぶんぶんと首を横に振った。