鈍感ガールと偽王子
「ふーん…。まだ信じてないんだ?」
「ふぇ?」
椎葉くんの、ワントーン低くなった声に驚いて、思わず布団から再び顔だけ出す。
すると。
不意に整った顔が間近に迫ってきて、あたしはなんとも間抜けな声を出していた。
「あんなに昨日は可愛くすがってきたのに?」
「し、しらない」
「……じゃあ、思い出させてやろうか?」
「な、なに、言って」
ギシッ、とベッドが鳴った。
椎葉くんが、あたしの方に体重をかけてベッドに乗ってきたから。