鈍感ガールと偽王子
もしかして、泊まれ、なんて言ったの失敗だったか?
初詣とか行けば良かったのか?
……あー、初詣!
そんなのあったな!
すっかり忘れてたわ!
そっちが多分正解だったんだろうな。
……なんてことを考えながら風呂に入り、着替えて、ワシャワシャとバスタオルで髪を拭きつつ居間に戻る。
「あ、颯多くん!着替え、ありがとね」
「……」
ソファに体育座りをしてテレビを見ていた美結が、にっこり笑う。
「あたし、化粧落としてきていい?来るとき簡単にだけどしてきちゃったんだよね」
ソファから立ち上がって自分の鞄からポーチを取り出し、それを持って俺の脇を通り抜けて洗面所に向かおうとする。
「わっ!?」
思わず、その手を掴んで引き寄せていた。
「な、何?」
「……あ、ごめん。なんでもない」
ぱっと手を離すと、なにそれ、と笑って美結は洗面所に入っていった。