鈍感ガールと偽王子
「やー…。まあ、いろいろあって」
「そのいろいろってのが気になるんだけど?」
「……」
「…ま、話したくなったらでいいけど」
「ごめん」
まだ、頭の中で整理ができてなかった。
少なくとも、目の前の椎葉くんの連絡先のメモを見て動揺するくらいには。
なんで、ここまでして…。
黙って出てきたこと、そんなに怒ってるの?
あたしは、きゅっと唇を結んだ。
分からなかった。
どうしてこんなにも、心が、ざわめくのかが。
「……ね、美結。あんた、処女だったよね?」
「!?」
な、ななな何だって!?
「ど、どしたの沙奈、急に…」
「ていうか、今彼氏いないんだよね?」
「今っていうか、今まで一度もいたことないって…、沙奈も知ってんでしょ?」
あたしが動揺を隠しきれずにそう言うと、沙奈は少しだけ眉を顰めた。