鈍感ガールと偽王子


な、なんだと!?



「う、うそ!!そんなんあるわけない!!」


「強情だねぇ。別に責めてるわけじゃないっていうか、むしろ喜んであげるのに。もしそれをつけたのが王子だとしても、あたし怒んないよ?」


「違うって言ってんでしょーっ!?」



そんなもの、あいつがつけるはずない!


そんなことされたら女の子が勘違いしちゃうことくらい、分かってるはずだ。



「……あたしは、それ、美結のこと好きだからつけたものだと思うけど?」


「なんでそんなことが沙奈にわかるの…」


「だってそんな場所、美結には見えなくても周りには結構見えちゃうもの。独占欲の塊だねー」



う、うそだ…!!



沙奈の言葉にあたしはかあっ、と顔が熱くなったのを感じた。



まさか、そんなはず、ない!



「ま、頑張んなよ?昨日も言ったけど自分から行かなきゃダメなんだから。あと、王子に連絡してあげてよ。なにもしなかったらまるであたしが連絡先渡さなかったみたいになるから」



そう言って、沙奈は立ちあがった。



「じゃ。あたしバイトあるから帰るね。おじゃましましたー」


「あ、うん…。バイト頑張って」


「ん!」



あたしは帰る沙奈を玄関まで見送ってから部屋に戻り、思わずぺたりと座り込んでいた。



無意識のうちに、沙奈に指摘された首元を掌で触れていた。


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