鈍感ガールと偽王子
「…ん?」
「どうした?」
男は不思議そうに首を傾げてこちらを見ている。
「ちょっと待って、とりあえず」
「何」
「…あなたは、誰ですか?」
「……俺?え、まじで?そこから記憶ないわけ?」
信じられない、とでも言いたげな顔であたしを見る男に、あたしはこっくりと頷いた。
「無い…。ていうか、あたしはどうしてこんなところにいるの?一体どうして名前も知らない人が同じベッドに…」
「……あのさ、裸の男女が同じベッドにいたら、その理由なんてひとつしかないだろ?」
呆れた顔であたしを見る男。