鈍感ガールと偽王子
『でも……』
不安げな表情な里奈に、あたしは憐れまれているような気さえして、いたたまれない気持ちになっていた。
……なんで、あたしがこんな思いしなくちゃなんないの。
『いいってば。里奈が幸せでうらやましいなぁって思ってボーっとしちゃっただけだから』
あたしの顔に貼りついてる愛想笑いは、きっとそれが偽物だって分かってる里奈にとってはすごく痛々しかったんだと思う。
『美結、嘘吐かないで…。私…ごめんね、こんな話して…』
申し訳なさそうに、そう言った里奈の『ごめん』の言葉が聞こえた瞬間、あたしは自分でも驚くくらいの怒りを感じた。
謝るようなこと、里奈はしてない。
勝手にイラついて、勝手に惨めな気持ちになってるのは、あたし。
『……美結?』
黙り込んでしまったあたしの顔を里奈が覗き込んでくる。
『……で』