鈍感ガールと偽王子
『え?』
『謝んないで!!余計、惨めな気持ちになるから!!自分が彼氏出来たからって、あたしのこと見下してるの!?』
思わず叫んでしまったあたしを、里奈は驚いたように目を見開いて、そして悲しそうに眉を歪めて見た。
……なんてこと言ってるのあたし…。
『み…、ゆ…、ごめんなさい、私そんなつもりじゃ…』
今にも泣きだしそうに里奈はそう言った。
『だ、から…。謝んなって言って…ッ』
あたしはそこで耐えられなくなり、急いで荷物をまとめると立ち上がり、里奈の部屋を出た。
『美結!!待って…っ!』
バタン、とドアが閉まる前に里奈が涙の滲む声でそう言ったのが聞こえたけど、あたしはそれを無視するしかなかった。