鈍感ガールと偽王子


……ないない。



椎葉くんがえっち寸止めできるような女だよ、あたし。


ふたりっきりでいてもなんもしてもらえないような女だよ。


色気もないし、可愛げもないし、なにもいいとこ見せられてないよ。


いいとこといえば、オムライス、キレイに作れたくらいだよ。



……それなのに、椎葉くんがあたしのことを好きなんて、嘘だ。



あたしはいっぱい椎葉くんからキュンをもらってるけど、あたしが椎葉くんにキュンをあげられたとは思えないし。



あたしはこれでもかってくらい椎葉くんにドキッとさせられてるけど、椎葉くんがあたしにドキドキしてるなんて思えないし。



今日だって、あたしは椎葉くんに支えてもらって、励ましてもらって、こうやって里奈のところに来ることができた。



でも、あたしが椎葉くんをこんなふうに支えてあげられてるとは思えない。




「やっぱ、ありえないよ」



あたしはふるふると首を振った。



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