鈍感ガールと偽王子



「……まあ、美結鈍感だしそう思うのは仕方ないけど」


「そういうことじゃなくて」



気付くとか気付かないとか、そういうことじゃない。



「うん、でもまあ頑張ってね。私、全力で応援してるから」



しかし里奈はあたしの言葉など意に介さないようで、にっこり笑ってそう言った。



「……うん、ありがとう」


「あ、そうだ。私もお礼言ってたって、椎葉くんに伝えてね。美結の背中、押してくれてありがとうって。椎葉くんのおかげで仲直りできたんだもんね、私たち」


「あっ!うん、そうだお礼言わなきゃ!」



あと、大丈夫だったよって、報告も。



あたしは鞄からケータイを出して、メールを打つ。



今度椎葉くんの家に行くとき、直接お礼言おう。



「よかったな」って、きっと、笑ってくれる。


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