恋するキミの、愛しい秘めごと
ポケットから徐に取り出した携帯を手に握りしめ、目を閉じて考える。
選択肢は二つだ。
カンちゃんにかけるか、榊原さんにかけるか……。
もしも噂が事実無根だったとしたら、榊原さんに申し訳なさすぎるし。
ずっと電話にも出ず、きちんと別れ話もしなかった私が突然そんな話をするのもどうかと思う。
それなら、カンちゃんに聞く?
だけどきっとカンちゃんは……。
その事実を話すつもりだったなら、私が榊原さんからの告白に悩んでいた時に話していたはず。
ここまでその事実を告げずにきた事を考えると、カンちゃんは榊原さんが好きだった私の為に、ハッキリとした返事はくれないような気がした。
「……」
これは、いい機会だったのかもしれない。
――もう逃げるのはやめにしよう。
瞳を開き、ゆっくりと息を吐き出した私は、アドレス帳からその名前を呼び出し、小さく震える指で通話ボタンを押した。
「……」
2回、3回と無機質なコールがなる携帯を握りしめながら、どう切り出そうか考える。
果たして彼は、この電話に出てくれるだろうか。
鳴り止まないコール音に諦めかけたその時。
「――日和?」
耳元で聞こえたその声に、わずかな胸の軋みを覚えながら静かに口を開いた。
「突然すみません……榊原さん」
やっぱり有耶無耶になっていた全ての事にきちんとケリを付ける、いい機会だったんだよ。
「今夜、少しお話をする時間を頂けませんか?」
「……もちろん、喜んで」