お嬢様の秘密Ⅱ
「俺を忘れたのか、ユリ!」


ドアにもたれかかっていたのは葵だった。


全然気づかなかったよ………。


「………私は夕食が出来次第お呼びいたしますので。」


広大さんは葵に同情するような視線を送って、退出した。


葵………怒ってる……。


「………俺はお前の何だ?」


「………彼氏でしょ……。」


小さい声でボソッと答え、うかがうように葵に視線を送った。


私が座っていた1人掛け用のソファーに乗ってきた。


首筋に顔を埋めてくる。


「………傾いちゃうよ。」


「じゃあ移動すればいいだろ?」


私の腕を引っ張って大きいソファーに連れて行き、葵の膝に向かい合う形で座らされた。


腰に手を回されて身動きが取れない。


葵に好きなように触られているし………なんか満足そうだけど。


「何で先帰ったんだよ?」


「女の子たちいたでしょ?邪魔しちゃ悪いなって。」


何でそんなこと聞くの?


「………俺が女に囲まれてお前は嫉妬してくれないのか?」


「………だって葵の付き合いまで制限していたら将来困るよ?パイプって大事じゃないの?」


葵だったらなおさら。


モテるって分かっているからあれぐらいで妬いてたらキリないし。
< 316 / 318 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop