シンデレラ契約

詩織side
会長室を後にし、二人は類の運転で自分達の住む別邸に向かっていた。

「改めて優勝おめでとう。詩織」

「ありがとう。類」
心から自分の優勝を喜んでくれる類に笑みが零れた。

「まぁ、もう引退するけどね」

「もったいないなぁ~折角才能があるのに」
その率直な意見に

「もともとWLSの宣伝のために始めたようなものだから…それとも、私が引退することで、バイヤーが減るのが怖いの?」
少し意地悪なことを言ってみた。

「嫌な言い方だなぁ。WLSの社長としては辞めて欲しくないけど、君の婚約者としては、詩織のやりたいことをして欲しいから、複雑な気分だね」

鼻をかきながら話す。鼻をかくのは、恥ずかしがしいときや困った時にやるウィリアムの癖…

「フッ、冗談で言ったのに…」

ウィリアム…いつも貴方はそうやって真っ直ぐにその笑顔で私と向き合ってくれる。
初めて会ったあの日から……




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