シンデレラ契約

三年前

契約書にサインして直ぐにターナー家の嫁としての教育が始まった。世界的企業の嫁として表舞台に立つ時に備えてのことだった。
婚約者に会うのは、ターナー家の伝統として全ての教育が終わってからと言われていた。

朝から晩まで、社交ダンス、ピアノ、バレエ、フランス語、イタリア語、テニス、ゴルフなど習いごとで埋めつくされていた。

さすがの詩織も一日中部屋に閉じこめられ、イタリア語の本に嫌気が指していた頃、

「ウィリアム様‼お待ち下さい」

外のメイドが騒がしい。

(何だろう?誰かいらっしゃるのかなぁ?)

詩織は婚約者の名前すら知らされていなかったのだ。

急に扉が開いた。

< 10 / 13 >

この作品をシェア

pagetop