スーツを着た悪魔【完結】
『そうだよな。そんな女、今までいなかったもんな。で、気になってるんだな。可愛いヤツ』
「可愛いって……誰がだ」
『深青ちゃん』
「馬鹿、気持ち悪いこと言うな」
電話の向こうの親友は、ケラケラと笑った後、『いいじゃないか』と言葉を続けた。
『らしくないな。いつものようにゲームだと思えばいい』
「女は可愛がるもの……」
『そう。昔から言ってやってただろ? 女は可愛がるものだってね。楽しめればそれでいい』
そして頼景は、がらりと話を変え、仕事の話をし、今度はプライベートで食事をしようと、電話を切った。
合理的であれ。
信頼できる人間は数人でよい。
側におくものは常に選ぶこと。
そして女は可愛がるもので、我を忘れるほどのめり込んではいけない。
四角四面に線を引き、自分を律するのが大好きな頼景の人生観に、ひどく影響されている深青だが――
そうは言っても、結局今回ばかりは素直にあの子うさぎと『楽しむ』気にはなれなかった。
例え親友に『らしくない』と思われたとしても、それが深青の本心だった。