スーツを着た悪魔【完結】
「イヤか?」
まゆの澄んだ黒い瞳に見つめられて、彼女がぽかんとしているのが手に取るように分かった。深青は苦笑する。
裏があると思われても仕方ないが、これが深青の本心だった。
実はまゆを送ったあと、親友の頼景から電話がかかってきて――
つい、小さい時から一緒に育ってきた兄のような存在の彼に、愚痴めいた口調であれこれと話してしまった。
「なぁヨリ。どう思う? とにかく未散がボケてるのか本気なのかは置いといて、まゆは――」
『まゆ?』
「女の名前。まぁ、で、俺に向かって実に反抗的な態度を取る」
『フツーはお前に正面切って言い返したりしないのにな』
「そう、そうなんだ! ついさっきまでうるうるしてたかと思って気を抜いてると、ガツンとやられて……」
『で、それが正しいからお前は腹が立つんだ』
「そう、だけど……」
それだけじゃないような気もする。
ただそれを頼景にうまく説明できる気がしなかった。