スーツを着た悪魔【完結】
「悪い……ゆっくり息をして」
深青は、指の背でまゆのあごさきから頬をゆっくりと撫で上げ、最初に可愛いと思った耳に指先で触れた。
「あ……」
いったんは深青から目を逸らし、あらぬ方向を見つめたまゆだけれど――
「俺を見て」
深青の言葉に、黒い瞳を濡れたように輝かせながら深青を見つめ返した。
耳の縁を指でなぞり続けていると、まゆの目の縁、何度も口づけた唇が、赤く染まる。
赤は欲情の色だと言う。感覚神経を刺激する、誘惑の色――
息をしろと言ったのは自分なのに――
また、たまらなくなって、まゆに唇を重ねた。ついばむようなキス。
ちゅっと可愛い音が鳴って、それから二人はじっと見つめ合う。
お互いの瞳に映るシルエット。飽きるまでずっと眺めていたい。いや、きっと飽きることはないのかもしれない。