スーツを着た悪魔【完結】
深青はゆっくりと息を吐きながら、そう、燃え上がる欲情を押さえるために彼女の首筋に顔をうずめた。
雨で冷え切っていた体は仄かにそのぬくもりを取り戻してはいるが、唇で触れた首筋はひんやりと冷たさが残っていた。
口づけたその部分を――そっと手のひらで温めるように撫でていると、まゆの体がまた少しずつ熱を持ち始める。
「深青、私……」
彼女の黒い瞳は、何かを告げたがっている。
頭がおかしくなりそうなくらい昂奮しているのに、同時にひどく冷静な自分がいる。
まゆを傷つけたくない。怖がらせたくない。
「まゆ……俺のところに来い」
「――ッ……」
ビクッと体を震わせるまゆ。
けれど深青はそんな彼女を抱きしめる腕に力を込め、彼女に迷いを感じさせないように言葉を重ねた。
「濡れた服を乾かさないと……風邪を引く……」