スーツを着た悪魔【完結】

いったい何に怒ってるんだ……。


深青は首をひねりながら、眉をひそめたが、もしかして照れているんだろうかと、そんな可能性に思い至って頬を緩める。


とりあえず彼女のために何か温まるものを作ろう。

ああ、その前に俺も着替えないとな。


着ていたスーツはすっかり雨でくたびれていた。それらをすべて脱ぎ捨て裸になり、とりあえずクローゼットから下着を取り出し身に着ける。

Tシャツとゆったりとしたスウェットパンツを履き、それから携帯でOrlandoに連絡し、まゆから書類を受け取ったこと、彼女はそのまま帰らせたと告げた。



「とりあえずこれでよし……」



リビングを突っ切ってキッチンのある二階へと上がる。

小さな琺瑯(ほうろう)の鍋に赤ワインを注ぎ、シナモンスティックを折ってから入れる。火をつけてから、ふと、食べ物も必要だろうと思い、冷蔵庫から牛乳、卵を取りだし、ボウルで一緒に砂糖をまぜ、耐熱容器に適当に切った食パンと一緒に合わせ、ブルーベリーを飾りオーブンへと投入した。


しばらくして、ホットワインが完成に近づき、ふんわりとシナモンの香りが漂い始める。



「深青……っ」



後ろから聞こえた声に振り返ると、まゆが深青のTシャツを着て立っていた。



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