スーツを着た悪魔【完結】
そう言うと、おずおずとまゆは近づいてきて、キッチンに深青と並んで立った。
「テーブルも椅子もないから、このままで」
「――どうしてないの?」
まゆはカップで暖を取るように手のひらを添え問いかける。
「一人だと必要ないから」
「そう……」
そんなものなのかと思いながら、まゆはそっとホットワインを口に含んだ。
シナモンの香りがふんわりと広がる。
ホットワインと言うからもっとアルコールっぽいものかと思ったが、そうではないらしい。
「美味しい……」
というか、こんなおしゃれな飲み物自体飲んだことがなかった。
まゆが夢中で飲み始めると、隣の深青は満足げに微笑み、持っていたグラスを置いて、まゆの頬にかかる髪を指で払い、かきあげた。
「ん……?」
グラスに唇をつけたまま己を仰ぎ見るまゆの頬に、深青は唇を寄せる。
「それを飲み終えたらベッドに行こう。リラックスしたお前をもっと見たい」