スーツを着た悪魔【完結】
「え……?」
今、彼はなんて?
ベッド――って言った?
「――ん、うまいよ、ほら」
自分が聞いた言葉がにわかに信じられず、まじまじと深青を見上げるまゆだったが……とうの深青は何と言うこともなく、フォークでパンプティングを自分の口に放り込み、モグモグしながらまゆの口元にも運ぶ。
今のやり取りは冗談なんだろうか……。
ぼーっと考え込んでいるまゆだったが、何しろ圧倒的に経験が足りない。
どうもこの豪徳寺深青という男は、感情が豊かと言うか、喜怒哀楽がはっきりしているというか、空気読まないというか……。
とにかく、何かと陰気にこもりがちなまゆからしたら、深青という男は眩しくて仕方ない存在で。
彼女が必死で考えたところで、彼が何を考えているのかなど想像もつかない。
「もう熱くないから食べてみろよ」
「あ……」
ふんわりと香る甘い香りは、まゆの食欲をそそった。