スーツを着た悪魔【完結】
やっぱり見られてるよね。
すごく、気まずい……。
まゆは手元に目線を向けたまま、俯く。
ここに来てからずっと、観察するような頼景の視線が気になっていた。
朝倉頼景さん。深青の家族同然の親友。
化粧品メーカーの芙蓉堂で働いていて、ご実家は私が以前朝4時に並んで買ったアクセサリーメーカーのMDなんだって。
黙り込んでいるのは無礼かもしれない。何か話を……。
「あの」
顔を上げると同時に、頼景が食後のコーヒーを飲みながら話しかけてきた。
「まゆさんのご両親はいったいどういうお仕事を?」
「っ……」
息を飲むまゆ。椅子に座っていても目眩がした。
けれど両親が何をしているかなんて……そんなおかしな話題じゃない。
正直に口にする。
「両親は、いません……他界しています」
「――そうでしたか。失礼しました」