スーツを着た悪魔【完結】

さすがに悪いことを言わせたと、頼景は一瞬口ごもったが、まゆは頼景と会話のきっかけができたことに少しだけホッとしていた。



「いえ。もうずっと昔のことなので……気になさらないでください」

「幼いころにご両親を亡くされたなんて、苦労されたでしょう」

「――叔父の家に引き取られて……18まで育ててもらいました。奨学金をもらって短大を出て、小さな食品会社に勤めていたんですが、業務不振でリストラにあって」

「それでオルランドに?」

「はい」



まゆはこっくりとうなずいた。


考えてみれば不思議な話だ。

リストラされて、合コンで深青に再会して(彼は私のことをまったく覚えていないが)

なぜか今は彼のことを好きになって、Orlandoで秘書のようなことをしている。


人生には何が起こるかわからないとよく言うけれど、まゆのように傷つくことに慣れる人生を送っていると、幸運が怖くてたまらなくなる。



一人じゃない食事。

誰かが側にいて大事にしてくれること


だけどこんなことは長くは続かないと、どこかであきらめてもいて……。



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