スーツを着た悪魔【完結】
まゆの、どうとらえていいかわからない返事に、深青は吐息に似たため息をついて。
それから濡れたように瞳を輝かせながら、まゆの唇にそっとキスを落とす。
一瞬触れ合った唇は、すぐに離れたが、深青はおでこをくっつけて、じっと彼女の黒い瞳を覗き込んだ。
「お前は甘くていい匂いがする」
いくら経験がなくとも、まゆも一人の女だ。
自分を見つめる瞳の意味、言葉の意味くらいわかる。
深青に「欲しい」と思われているという事実……。
抱き合えばきっと幸せな気持ちはもっと大きくなるだろう。
もし私が普通の女の子だったら迷わずそうしたのにと、自分を呪わずにはいられなくて、目を伏せる。
そんな葛藤を抱えているとも知らず、深青はうつむいたまゆを抱き上げベッドに横たわらせた。
「まゆ」
呼ばれておそるおそる顔を上げると、濡れてきらきらと輝く瞳が眩しい。
手を伸ばし、彼の髪を指ですくと、深青はその手を取り、手のひらの真ん中に口づけた。