スーツを着た悪魔【完結】

まゆが悠馬の家に引き取られてきたのは、彼女が小学校低学年の頃だった。



両親が弟夫婦の一人娘を引き取ったと聞いた夏、悠馬は名門私立高の寮から帰ることにした。

彼の両親はひどく利己的な人間で、なおかつ虚栄心が強く、常々没交渉だった弟夫婦を悪しざまに悪く言っていたので、その娘を引き取ったと聞いたときは、いったいどういう風の吹き回しだと興味が湧いたのだ。


帰宅してすぐ、悠馬は押し入れに使っていた部屋に押し込められていたまゆに会いに行く。



「はじめまして、こんにちは」



日当たりが悪いせいか、じめついたベッドにうつ伏せに寝そべっている彼女に声を掛けると、彼女は泣き濡れた瞳で、悠馬を振り返った。


夏まっさかりだというのに、サイズの合わない長袖のTシャツと、ジャンバースカートを着ていた。

おそらく妹の古着だろう。



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