スーツを着た悪魔【完結】
やはり両親が彼女を引き取ったのは、周囲への虚栄心だと納得しつつ、同時に自分をジッと見つめるまゆから目が逸らせない。
大きく、丸く、潤んだ黒い瞳。無垢で美しい。まるで小鹿のような瞳だと思った。
「おにいちゃん、だれ……」
かすれた声で尋ねられて、幼い少女に見惚れていた自分に気がついた。
自分は根っからのサディストだが、ロリータコンプレックスではないはずだ。
わかっている。が、目が逸らせない――
「悠馬だよ」
気を取り直し、優しくまゆに声をかける。
「ゆぅ、ま……?」
「君の、イトコだよ。高校はここから少し離れたところに通っているから、普段家にはいないんだ」
「……うん」
まゆはこっくりとうなずきながら「わたし、まゆっていうの」と、小さな手で頬に残る涙をぬぐう。