スーツを着た悪魔【完結】
だけど物語はあまりにも残酷で。
あのころの、子供の私にはアスランの死は辛すぎて……恐ろしくて。
それっきり悠ちゃんにおねだりして読んでもらうこともなくなったし、自分で読もうとも思わなくなった。
まゆはひんやりと冷たくなった手を握り締めながら、本棚を見上げる。
にしても、ナルニア国物語って七冊も出てたんだ……知らなかった。
震える手でおそるおそる手を伸ばすと――
「まゆ?」
背後から声を掛けられて、その手が停まる。
「あ……」
振り返ると、深青だった。
思ったより早く買い物が終わったらしい深青は、店内のまゆを探していた。
彼女が児童文学の棚で立ち尽くしているのを発見して、すぐに声をかけたのだ。
「ああ、ナルニアか。俺もガキの頃好きだったよ」