スーツを着た悪魔【完結】
無関心……
「好き」の反対は「無関心」だという。嫌われるより無視されるほうが辛い、という。
まゆは、ずっとそれでいいと思っていた。
「悪意」を向けられるくらいなら、誰からも無視されたほうがいい。
傷つけられるくらいなら、一人ぼっちのほうが、ずっといいに決まっていると信じていた。
けれど――
バスタブに体を沈め、目を閉じると、深青や未散、職場の優しい人たち、そして豪徳寺家当主の顔が浮かんでは消える。
無視されたくない。
一人ぼっちになりたくない。
それは私のわがままなのに……。
「っ……」
胸の奥がグッと締めつけられるように苦しくなって、まゆはそのままじゃぶんと湯船に顔をつける。
今、あの人たちに無視されたら「いないもの」と扱われたら、私はどうなってしまうんだろう。