スーツを着た悪魔【完結】

誰の迷惑にもならないように、端っこを歩いてなければいけなくて

恋だってしたらダメで

嬉しいなんて思っちゃだめで――


だけど……

だけど、深青に「好き」って言われたら幸せなの。嬉しいの。


ねえ、どうしたらいいの?

どうやったらこの恋心は消えてくれるの?

幸せな気持ちにならないで済むの?



「でも、知ったら、深青は、ぜったい、私のこと、嫌いになるもんっ……」



幼いまゆの脳に、体に刻みつけられた傷が激しく存在を主張する。


いつも感情を押さえて生きているまゆも、昔のことを口にするだけで、どうしても、落ち着いて話すことが出来ない。

あの頃の、そしてそれからずっと歩んできた、子供の頃に返ってしまう。


涙が溢れる。息が詰まる。

自然と体が震えはじめたその瞬間。



「まゆ……」



深青は何かを感じ取ったのか、そっと、まゆのこめかみにキスを落とした。



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