スーツを着た悪魔【完結】
ほんのりと笑顔を浮かべているまゆを見ると、戯れでもなんでも俺が初めてでよかったと思ってしまう、どうしようもない男、深青だったが――
「男の人なんて、悠ちゃん以外に知らないから……」
と、聞き捨てならない言葉を吐くまゆを思わず二度見する。
「なに?」
「ん……?」
まゆは深青の肩に頭を乗せたまま、うとうとし始めたようだ。
「おい、まゆ」
「うん……」
「ユウちゃんって誰だよ」
「――」
「まゆ?」
ジッと見つめると、スーツのジャケットの下の胸がゆっくりと上下に揺れている。
ね……寝た。
あ然とする深青だったが、さすがに気持ちよさそうに自分にもたれて眠るまゆを起こすつもりはない。
『ユウちゃん』がいったいどこの誰なのか、かなり気になったが、とりあえず口をつぐんだ。