スーツを着た悪魔【完結】

「まゆ?」



黙り込んだまゆの顔を、深青が覗きこむ。

彼の呼びかけにハッとしたまゆは、気を取り直したように笑顔を作った。



「あ、あのね、もし深青がよかったら……うちに来ない? たいしたものは作れないけど続けて外食は疲れるから」

「ああ、うん……そうだな」



うちに来ない?

今確かにそう言ったよな。


ぎこちなくうなずく深青。


俺を部屋にあげてもいいのか、そういう意味なのか、と喉まで出かかったが、まゆにそんな駆け引きが出来るとは到底思えない。

本当に『外食は疲れたから家で』と思ってのセリフなんだろう。


だけどまあそれでもいい。まゆが普段生活している部屋に入れるんだから。


深青はまゆのお誘いに当然のごとくのることにした。



「じゃあ、そうするか」

「うん」



二人は顔を見合わせて微笑み、今度はごく自然に手を繋いでいた。



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