スーツを着た悪魔【完結】
新幹線を降りてから、二人はそのままタクシーに乗り込み、まゆの住むアパートへと向かう。
「へぇ……」
前回は下から見上げるだけだった、まゆが18歳から住んでいるという部屋は案の定狭かった。
が、日々質素に、けれど堅実に暮らしているのがわかる清潔感のある部屋だった。
部屋に上がり込んでそうそう、深青は興味津々といったふうに中を見回している。
そんな深青を見て、まゆは自分の部屋だと言うのに、妙に居心地の悪さを感じていた。
私のバカ……
どうしてこんな狭い部屋に深青を呼ぼうって思ったんだろう。
背の高い彼が部屋の真ん中に立つだけで、いつもの天井が低く見える。
彼ったら、まるでこの部屋に似合わない。
例えて言うなら、ゴージャスなチャンピオン犬(ボルゾイ)が、西日が差し込む六畳一間にたたずんでいるような雰囲気だ。