スーツを着た悪魔【完結】

「さぼらないよ。なに言ってるの」



クスクスと笑い、彼の背中に腕を回しながら目線を持ち上げる。

ちょうどその先には深青の顎先があって、いつもは黙っていれば王子様然とした彼だけれど、ほんの少し伸びたひげが妙にセクシーに映った。



「ひげ……」



そっと手を伸ばし、深青の顎先を撫でると、深青は切れ長の瞳をぎゅっと閉じ渋い顔をする。



「今日、朝からシャンテのほうで会議あるから、剃らなきゃマズイな……あっちの重役はジジイばっかだから、うるさいんだ……」

「会議何時からなの?」

「9時半……眠い……」



深青はふわっとあくびをしたあと、そのまままゆの首筋に顔をうずめる。


どうやら自分とは違って、深青はよく眠れなかったようだ。


時計を見ると、まだ7時だった。



「このままシャンテに行くの?」

「そうする……」





< 437 / 569 >

この作品をシェア

pagetop