スーツを着た悪魔【完結】

「じゃ、じゃあ、コ、コ、コンビニで買ってくるから!」

「ああ、俺行くからいいって」

「だめよ、ノーパンはダメ! 捕まっちゃう!」

「捕まるって……んなわけねえだろ」

「わ、わかんないよ? とにかくすぐだから!」



まゆは深青からきっちり目を逸らしたまま、バッグから財布をつかむと、そのまま勢いよく部屋を飛び出し、アパートの階段を駆け下りる。



「変なまゆ……」



一つの布団に何度も入って、昨晩はほんの少しだけ、いや結構先に進んだというのにそんな恥ずかしいか?


けれど顔を真っ赤にしつつ、必死に走って行ったまゆを想像すると、おかしいよりも愛おしいが先立つのは惚れた弱みだなんだろうか。


彼女が戻ってくるまで、せめて朝食の準備をしておこう。



深青は機嫌よくキッチンに立ち、鼻歌を歌い始めた。


彼の母親がよくやっていたように。




< 440 / 569 >

この作品をシェア

pagetop