スーツを着た悪魔【完結】
まゆは自分を見つめる深青の真摯な瞳に魅入られていた。
頬に乗せられた彼の手の甲に、自分の手を重ねる。
「俺にとって、お前はとても大事な存在だってこと、伝わってるか?」
「……」
「俺が好きなのは、今ここに立って、俺の髪を乾かしてくれてる女だってこと。代わりはどこにもいない、唯一の女だ」
深青に何か言われるたび、トゲトゲして、ゴロゴロ角ばっていた心が丸くなっていくような気がする。
深青って、魔法使いみたい。
いたずらっ子のようにニヤリと唇の端を持ち上げる深青に、まゆは、はにかむようにうなずくと、上半身をかがめ触れるだけのキスをする。
そしてそのまま彼の首の後ろに腕をまわし、抱きついた。
「ありがとう、深青」
大丈夫。私が好きになったのはこんな素敵な人だもの。
きっと悠ちゃんだってわかってくれる。