スーツを着た悪魔【完結】
深青はChante、まゆはOrlandoへとそれぞれ出勤し、一日が始まった。
深青、ちゃんとひげ剃れたかな。偉い人に怒られてないかな。
キーボードを叩きながら、シャンテにいるはずの深青のことを考えているだけでまゆは幸福感に包まれていた。
彼が元気に働いているだけで嬉しい。側にいなくても幸せな気持ちになる。
こういうのを、色ぼけって言うんだろうか……。
年の割には渋いことを考えていると、阿部からトントンと肩を叩かれる。
「澤田さん、今日社長ってシャンテだよね? ちょっと連絡を取ってもらえない?」
「どうしたんですか?」
「お役所宛の請求書の印鑑、社長が持ってるのよね。今日中に出しときたいんだ」
「わかりました、すぐにメールしてみます」
会議中でも手元に端末は置いてあったはずだ。
まゆはうなずいて、深青宛にメールを作成し送信した。