スーツを着た悪魔【完結】
人を信じられない――
しかも自分の好きな人を信じられないなんて、悲しいことだとわかっていたけれど、どうしても駄目だった。
今の私は、ほんの少しくらい、成長できただろうか。
深青のことを心から信じられる女になれただろうか……。
「深青……」
名前を呼ぶと、彼の輝きが一層増すような気がする。
そして彼に名前を呼ばれ、触れられた時の自分も、大事な命のような気がして、泣きそうになる。
どうして今ここに深青はいないんだろう。
ぎゅっと抱きしめてもらえたら、どんなに心強いだろうか――って。
私ったら何考えてるんだろう。
離れていても幸せだと思ったのはほんの数時間前のことなのに。
しっかりするのよ、まゆ。早く印鑑探さなきゃ!
まゆはほんのり熱を持つ頬に手のひらを軽くたたきつけると、軽く息を吐いて、本格的にベッドサイドのスペースを探し始める。