スーツを着た悪魔【完結】

「んー……ないなぁ……」



シンプルなボードの上に置かれた書類の山をかきわけても、ない。

いったいどこにあるんだろう。

そのうち重ねられた封筒のいくつかが、ボードの上から滑り落ちてしまった。



「やだ、もうっ……私ったら」



焦りながらその場にしゃがみ込み、書類をかきあつめ、封筒に押し込むまゆだったが、書類の中に『澤田まゆ』という文字を発見して手が止まる。



「え……?」



心臓が、鼓動が、尋常じゃないほど跳ね上がる。


なにこれ……。

まゆは震える手でおそるおそる、ホッチキスで束ねられた報告書の文字を目線で追った。



「澤田まゆ……調査、報告書……」



キイン、と耳の音から高音が鳴り響く。


足元が突然粘土にでもなってしまったような気がした。

立っていられなくなったまゆは、その場に膝から崩れ落ちる。




< 447 / 569 >

この作品をシェア

pagetop