スーツを着た悪魔【完結】

「うん、そうだね。じゃあ、私たちはこれで」

「えっ、もう帰っちゃうんですか?」



てっきり一緒に夕食を食べられると思ったのに……。

まゆは思わずしょんぼりと、二人の顔を見比べる。



「今日はね、寄っただけだから。また来るわ。今度は一緒にごはんを食べましょう」

「はい、必ず!」



まゆは二人が出て行く後ろ姿と、頼景の運転する車が完全に見えなくなるまで手を振り、それから

「びっくりした……」

深青のウエストに腕をまわし、抱きついてため息をついた。



「プレゼント? 本当は俺がしたかったけどな」




満足げに微笑むまゆを見下ろし、深青は彼女の丸い後頭部を優しく撫でる。



「まるで十年分のお誕生日プレゼントを貰ったみたいよ」

「十年分?」

「うん。ありがとう……」



本当は、十年どころか、彼女が生まれて何度も、いや、間違いなく、まゆが傷ついた夜からずっと無視され続けてきたに違いない誕生日……。



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