スーツを着た悪魔【完結】

「あーそう、そうなの……ふふふふっ……これはこれはっ……クククッ!! お、おなか、よじれちゃう……!」



ついさっきまで怒り狂っていた美女が、涙を流しながら笑うその姿は、カフェでもかなり注目を浴びていた。

もちろん彼女だって、豪徳寺家に生まれた娘として、それなり、いやかなりの教育を受けてはいるのだが、そんなことを忘れてしまうくらい、兄の発言は衝撃的だったのだ。


ちなみにまゆはあ然としていて周囲の状況など考えられず、深青にいたってはとりあえず妹を騙せたと言うことにホッとしていて、それどころではなかった。


あのお兄ちゃんが、恋人を「俺の子ウサギちゃん」と呼ぶなんて……

これはそうね――

違う意味で、お父様とお母様に報告が必要かもしれないわ。



未散は目の端に浮かんだ涙を指先でぬぐい、兄と可愛らしい恋人を見下ろし、うんうん、とうなずく。



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