スーツを着た悪魔【完結】
ふんわりとただよう薔薇のようないい香りに、このフェロモン兄妹の恐ろしさを感じながら、まゆはうつむいた。
「まぁ……それは大変ね。あ、どこか紹介しましょうか! 私こう見えても結構顔が広くて――」
「未散」
それまで黙っていた深青が、妙な方向におせっかいをしはじめた妹を止めた。
とりあえずこの場を誤魔化しきれたことにホッとしたが、これ以上未散をこの子ウサギ――
『まゆ』に近づけるわけにはいかない。
「――実はそのことだけど、彼女にはうちでアルバイトをしないかと提案するつもりだったんだ」
「え!?」
驚くまゆを見て、深青はその端整で甘いマスクをまゆに向け、にっこりと笑う。
「困っている君に手を差し伸べない理由はない。受けてくれるだろ? 子ウサギちゃん」
「うっ……」